『ミュンヘン』
2007年01月30日 (火)
1972年のミュンヘンオリンピックにおいて起きたパレスチナの過激派によるイスラエル人人質事件(選手・コーチなど人質11人全員死亡)に対してイスラエル政府がとった対応は報復=犯人の暗殺であった。
本作は、その暗殺団のリーダーであった元モサド(イスラエルの諜報機関)のメンバーによるノンフィクション「標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録」を基に、スティーブン・スピルバーグが、暗殺団がターゲットを次々と暗殺していく模様と暗殺者の苦悩を描いた作品。
イスラエルについて(ユダヤ人やユダヤ教やイスラエル建国にまつわる様々な問題)どれだけ理解しているかで、この作品を見た感想は違ってくるのだろうと思う。
私の場合、アバウトな知識しかないので、あまり深く理解できたとは言えないのだが…。
自身ユダヤ系アメリカ人であることもあってか、スピルバーグは、暗殺という方法を選んだイスラエル政府や実際に手を下した暗殺者についてもまたその行為自体についても、是とも非とも明確にはしておらず、この作品から何を思うか、何を感じるか、何を考えるかは観客に委ねるというカタチで描いていると思う。
ただ、暗殺者が、やがて自らが報復のターゲットとなり、いつ命を狙われるかわからない日々に疲弊していく姿を描くことによって、報復は報復を生むというその連鎖の虚しさを描いているとは思える。
映画としての完成度はかなり高いと言っていいだろう。
だが、164分は、長い…。
話が話であるし、ドキュメンタリータッチなリアルな作りで、暗殺シーンなどではかなり残酷な描写もあるし、どうしても暗澹たる気持ちになってしまうわけで、それが2時間40分も続くのはかなりキツイ。
DVDで見たのだが、実のところ途中で一旦見るのをやめて、翌日続きを見た。劇場でなくてよかったと思ったのが正直なところである。
ここまで長い尺で作る必要があったのだろうか?
スピルバーグ自身の思い入れが相当に深いということなのかもしれない。
この作品で描かれているイスラエル・パレスチナ問題を含む中東の問題、いや、その他の世界のどこの紛争や戦争であっても、もちろん他人ごととして知らぬ顔をしていいわけはないとは思うが、特に中東の問題については、無力感を感じてしまう。
その歴史の長さ、宗教観、地理的条件などの点からも、そこに住む人々の苦悩を、我々日本人…海に囲まれた国土ゆえにほぼ単一の民族で古くから国家を形成することが可能であった上、温暖な気候、豊かな自然に恵まれた国に生まれ育った人間…は、理解することはできないように思う。ゆえに、たぶん、何もできないのだろう。
いつか平和が訪れるように…虚しい期待を込めて祈るばかりだ。
決して見て損はない作品だとは思うが、ご覧になる場合はどんよりするお覚悟を。
オススメ度 4
(5=絶対オススメ! 4=観て損はない。 3=まずまずかな。 2=観てもいいけど、面白くないかも。 1=観たらお金と時間の無駄。お好きな映画だったらゴメンなさい。)
原案となった書籍
本作は、その暗殺団のリーダーであった元モサド(イスラエルの諜報機関)のメンバーによるノンフィクション「標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録」を基に、スティーブン・スピルバーグが、暗殺団がターゲットを次々と暗殺していく模様と暗殺者の苦悩を描いた作品。
イスラエルについて(ユダヤ人やユダヤ教やイスラエル建国にまつわる様々な問題)どれだけ理解しているかで、この作品を見た感想は違ってくるのだろうと思う。
私の場合、アバウトな知識しかないので、あまり深く理解できたとは言えないのだが…。
自身ユダヤ系アメリカ人であることもあってか、スピルバーグは、暗殺という方法を選んだイスラエル政府や実際に手を下した暗殺者についてもまたその行為自体についても、是とも非とも明確にはしておらず、この作品から何を思うか、何を感じるか、何を考えるかは観客に委ねるというカタチで描いていると思う。
ただ、暗殺者が、やがて自らが報復のターゲットとなり、いつ命を狙われるかわからない日々に疲弊していく姿を描くことによって、報復は報復を生むというその連鎖の虚しさを描いているとは思える。
映画としての完成度はかなり高いと言っていいだろう。
だが、164分は、長い…。
話が話であるし、ドキュメンタリータッチなリアルな作りで、暗殺シーンなどではかなり残酷な描写もあるし、どうしても暗澹たる気持ちになってしまうわけで、それが2時間40分も続くのはかなりキツイ。
DVDで見たのだが、実のところ途中で一旦見るのをやめて、翌日続きを見た。劇場でなくてよかったと思ったのが正直なところである。
ここまで長い尺で作る必要があったのだろうか?
スピルバーグ自身の思い入れが相当に深いということなのかもしれない。
この作品で描かれているイスラエル・パレスチナ問題を含む中東の問題、いや、その他の世界のどこの紛争や戦争であっても、もちろん他人ごととして知らぬ顔をしていいわけはないとは思うが、特に中東の問題については、無力感を感じてしまう。
その歴史の長さ、宗教観、地理的条件などの点からも、そこに住む人々の苦悩を、我々日本人…海に囲まれた国土ゆえにほぼ単一の民族で古くから国家を形成することが可能であった上、温暖な気候、豊かな自然に恵まれた国に生まれ育った人間…は、理解することはできないように思う。ゆえに、たぶん、何もできないのだろう。
いつか平和が訪れるように…虚しい期待を込めて祈るばかりだ。
決して見て損はない作品だとは思うが、ご覧になる場合はどんよりするお覚悟を。
オススメ度 4
(5=絶対オススメ! 4=観て損はない。 3=まずまずかな。 2=観てもいいけど、面白くないかも。 1=観たらお金と時間の無駄。お好きな映画だったらゴメンなさい。)
![]() | ミュンヘン[MUNICH] スペシャル・エディション 監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:エリック・バナ ダニエル・クレイグ キアラン・ハインズ(2005年度作品) 角川エンタテインメント 2006-08-18 by G-Tools |
原案となった書籍
![]() | 標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録 ジョージ ジョナス 新庄 哲夫 新潮社 1986-07 by G-Tools |
COMMENT
暗〜〜く
限り無く暗いような映画なので 敬遠してたんですけど・・・
ども 最近のスピルバーグ作品って すっきりしなくて ましてや救いがない映画は年のせいか嫌なのよね(わがまま)と思っていたら ダニエル・グレイブが出てるっていうし 観てみようかな?と思ってたとこです。
でも長いのね・・・ 気分的に落ち込んでない時にします。(殴)
ども 最近のスピルバーグ作品って すっきりしなくて ましてや救いがない映画は年のせいか嫌なのよね(わがまま)と思っていたら ダニエル・グレイブが出てるっていうし 観てみようかな?と思ってたとこです。
でも長いのね・・・ 気分的に落ち込んでない時にします。(殴)
by ケイ
◆ケイさん
スピルバーグってね、やっぱウマイと思うんですよ。
描くテーマによって面白かったり面白くなかったりはしますが、映画をつくる技術はやはりすごいなと思います。
そのウマさでこんな作品作られると、もう、どんより〜〜〜〜。
エントリにも書きましたが、私はただただ無力感を感じてしまいました。
ですので、しっかり心の準備をなさってご覧くださいませねぇ。
ダニエル・クレイグは、暗殺団メンバーの中の車輌関連のエキスパート?という役どころ。
キャラ的にはちょっとイケイケで(笑)、ボンドとはまた違って、けっこうよかったですよ。
スピルバーグってね、やっぱウマイと思うんですよ。
描くテーマによって面白かったり面白くなかったりはしますが、映画をつくる技術はやはりすごいなと思います。
そのウマさでこんな作品作られると、もう、どんより〜〜〜〜。
エントリにも書きましたが、私はただただ無力感を感じてしまいました。
ですので、しっかり心の準備をなさってご覧くださいませねぇ。
ダニエル・クレイグは、暗殺団メンバーの中の車輌関連のエキスパート?という役どころ。
キャラ的にはちょっとイケイケで(笑)、ボンドとはまた違って、けっこうよかったですよ。
by けろにあ
歴史背景を知ること
けろにあさん、ミュンヘン見られたのですね。164分は長かったでしょう?お疲れ様でした、というのが相応しいですね。
二回に分けて見られたのも理解できます。私も公開時、すごくそそられたのですが、精力?を持っていかれそうで劇場に足を運べませんでした。DVDでも覚悟が要りますね。
でも2000年とも3000年ともいう歴史背景を絡めて描くにはいくら時間を費やしても足りないというのがスピルバ−グの本音だと思ってしまいます。
9.11同時テロが起こった時、テレビで惨状を目にして「何がそこまでさせるのか!」と図書館に駆け込んで、イスラムやユダヤに関する歴史の書物を読みあさって情報を得ました。イスラエル建国にまつわるイギリス帝国のアラブ・ユダヤ人双方へ良い顔をした二元外交が現在のような激しい対立を生んだ要因のひとつとあります。
けろにあさんがおっしゃるように、島国という特質上、単一民族で国家を構築してこれた日本で育った私には宗教や民族闘争は到底理解できないです。
無力感を感じつつ、でも歴史背景を知り、どちらかに偏ることなくそれぞれの言い分を慮ることは出来るのではないかと、これからも映画や本から情報収集していきたいと思います。
私は先日の映画の日に「幸せのちから」を見ました。実話モチ−フで、見終わった後にポジティブな気持ちにさせてくれる映画でしたよん。ウィル・スミスを初めて良いと思いました。
二回に分けて見られたのも理解できます。私も公開時、すごくそそられたのですが、精力?を持っていかれそうで劇場に足を運べませんでした。DVDでも覚悟が要りますね。
でも2000年とも3000年ともいう歴史背景を絡めて描くにはいくら時間を費やしても足りないというのがスピルバ−グの本音だと思ってしまいます。
9.11同時テロが起こった時、テレビで惨状を目にして「何がそこまでさせるのか!」と図書館に駆け込んで、イスラムやユダヤに関する歴史の書物を読みあさって情報を得ました。イスラエル建国にまつわるイギリス帝国のアラブ・ユダヤ人双方へ良い顔をした二元外交が現在のような激しい対立を生んだ要因のひとつとあります。
けろにあさんがおっしゃるように、島国という特質上、単一民族で国家を構築してこれた日本で育った私には宗教や民族闘争は到底理解できないです。
無力感を感じつつ、でも歴史背景を知り、どちらかに偏ることなくそれぞれの言い分を慮ることは出来るのではないかと、これからも映画や本から情報収集していきたいと思います。
私は先日の映画の日に「幸せのちから」を見ました。実話モチ−フで、見終わった後にポジティブな気持ちにさせてくれる映画でしたよん。ウィル・スミスを初めて良いと思いました。
by なり
◆なりさん
長かったです。
作品としてのデキがよくなくてダレて長いのではなく、その紛争の歴史の長さや深さの果てしなさを感じてしまって…。
仰るように、スピルバーグは、どれだけ時間を費やしても足りないと思っているのかもしれませんね。
でも、見てよかったです。
無力感を感じつつも、できるだけきちんと理解していくべきことだと私も思います。
そして、たとえ虚しい期待であったとしても、いつか平和が訪れることを祈りたいと思います。
「幸せのちから」、私も予告を見て見たくなりました。
同じく、ウィル・スミスは今までそんなにいいと思わなかったんですが、この作品の彼は今までとは違うんじゃないかなと想像してます。彼の息子の演技もすばらしいようですしね。
でも、どうしても他により見たい作品があるので、私はDVDでになりそうですぅ。
長かったです。
作品としてのデキがよくなくてダレて長いのではなく、その紛争の歴史の長さや深さの果てしなさを感じてしまって…。
仰るように、スピルバーグは、どれだけ時間を費やしても足りないと思っているのかもしれませんね。
でも、見てよかったです。
無力感を感じつつも、できるだけきちんと理解していくべきことだと私も思います。
そして、たとえ虚しい期待であったとしても、いつか平和が訪れることを祈りたいと思います。
「幸せのちから」、私も予告を見て見たくなりました。
同じく、ウィル・スミスは今までそんなにいいと思わなかったんですが、この作品の彼は今までとは違うんじゃないかなと想像してます。彼の息子の演技もすばらしいようですしね。
でも、どうしても他により見たい作品があるので、私はDVDでになりそうですぅ。
by けろにあ







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